日本国内におけるカジノ施設の運営や、カジノゲームでギャンブルを行うことは2021年9月の時点では法律で禁止されています。
マスメディアなどでは違法ギャンブルの摘発で逮捕者が出たというニュースがたまに報じられていることから、ネットカジノも違法なのでは?と誤解している少なからず方もいるようです。
過去に違法のネットカジノを利用して逮捕者が出たことはありますが、あくまでも前例であり、裁判結果に基づく判例ではありません。
ここでは、違法ネットカジノで逮捕者が出た事例と摘発後の流れを解説していくので、ぜひ参考にしてください。
初めてネットカジノ利用者が摘発されたNetBanQ事件
ネットカジノの利用者が初めて摘発を受けたのが、2016年2月に起きた「NetBanQ事件」です。
ちなみにNetBanQはネットカジノではなくオンライン決済サービスで、ネットカジノの入出金に利用されており日本国内を拠点に運営を行っていました。
当初、逮捕されたNetBanQ運営者は偽エラーコインを販売したという詐欺容疑でしたが、その後、ネットカジノの運営も行っていたことが発覚し再逮捕となりました。
このような流れの中、捜査当局はNetBanQの利用者である数人のネットカジノ利用者に狙いを定めて家宅捜索を実施しました。
捜査当局はNetBanQが国内を拠点とした違法のネットカジノを運営していたと断定し、そこの利用者に関しても単純賭博罪を適用できると考え、摘発に踏み切ったという訳です。
NetBanQ摘発とその後の流れ
NetBanQ運営者の関しては、偽エラーコインの販売に加えネットカジノを運営していた疑いもあり逮捕されました。
しかしネットカジノの利用者に関しては、結果的に家宅捜索に留まり逮捕されることはありませんでした。
それでも利用者たちにも単純賭博罪を問われる結果となり、最終的に略式起訴で罰金10~20万円を支払うという決着となったのです。
略式起訴というのは、被疑者の同意の元で検察が裁判所に略式起訴の請求を行い、裁判所がこれを認めれば略式命令が下されるというもので、罪を認めて面倒な裁判を避けられるというメリットがあります。
しかし被疑者となった一部の利用者は、略式起訴に同意せず裁判で争うことを選択しました。
結果的に検察側が裁判を避け不起訴処分となりました。
つまり検察側は裁判で勝てないと踏んだのであり、NetBanQはあくまでもオンライン決算サービスであり、利用者が遊んでいたネットカジノは海外を拠点としており違法性は無いという利用者の主張が証明されたのです。
3人のネットカジノプレイヤーが逮捕されたスマートライブ事件
NetBanQ事件の翌月には、ネットカジノの利用者3人が逮捕されて大きなニュースとなり、ネットカジノ界隈は騒然としました。
これがいわゆる後に有名となる「スマートライブ事件」で、逮捕された3人は海外を拠点と知るネットカジノを自宅で楽しんでいただけでした。
先のNetBanQ事件では、運用者が詐欺行為で逮捕されましたが、家宅捜索を受けたネットカジノの利用者の一部は関しては、略式起訴に同意せず不起訴処分を勝ち取っています。
立て続けにネットカジノをめぐる摘発が起きたことで、ネットカジノの利用者の間に衝撃が走りました。
スマートライブ事件で逮捕者が出た理由
すでに似たような事件で、ネットカジノの利用者が不起訴処分を勝ち取ったにも関わらず、なぜ当局は再び3人の逮捕に踏み切ったのでしょうか。
今回の場合は前回のNetBanQ事件と少し事情が違い、逮捕された3人は日本人用のネットカジノを利用していたことが大きなポイントとなっています。
3人が利用していたのは、 スマートライブカジノというイギリスを拠点する合法ネットカジノで特に問題はありませんでしたが、このネットカジノは提供していた日本人向けのサービスが問題視されたのです。
このサービスは日本人が利用する時間帯に営業を行い、ディーラーも日本人を採用するなどしており、捜査当局は日本国内で運営されていると判断して逮捕に踏み切ったのです。
結果的に3人は単純賭博罪を認めて略式起訴となり、10~20万円の罰金が科せられました。
2つの事件を教訓にしたネットカジノの正しい遊び方
海外を拠点としたネットカジノを利用することに関して、日本国内ではこれを取り締る明確な法律が存在していないので、現時点では違法性はありません。
しかしながらネットカジノを合法だと認定する法律もないので、グレーゾーンという、あくまでも黙認状態であることに注意しなければなりません。
つまり法的解釈によっては、これまで説明してきた2つの事件のように、違法性が問われて逮捕される可能性もあるということです。
しかし現段階ではネットカジノに関する法整備が行われる動きもなく、しばらくは心配する必要はなさそうです。
現段階でネットカジノの利用者ができる自己防衛は、SNSなどネット上でネットカジノを利用していることを不必要に発信するなど、変に目立つようなことをしないことです。
まとめ
違法ネットカジノで逮捕者が出た事例と摘発後の流れを解説してきましたが、参考になったでしょうか?
ネットカジノの利用者が略式起訴で罰金を科せられたのも事実ですが、不起訴処分で事実上の無罪となった利用者もいて、法的な判断は曖昧さを残している状態です。
その一方で最近では、日本国内でもネットカジノは手軽な娯楽として認識が高まっているなど、以前よりも人々の理解は深まっています。
現状では海外拠点の合法ネットカジノで遊ぶことで違法性を問われることはありませんが、近い将来ネットカジノに関する法整備が進み、何らかの変化が起きる可能性は否定できません。